明日が怖い努力家と、昨日が嫌いな優しい人。
おせんべいフェイス
「あの~、昨日、英語企画話したじゃないすか」
「おぉおぉ、あの一日家で英語しかしゃべんないっていう」
「そうそうあれね、まずさ英語のみだと家族と会話できないじゃん?」
「だから俺の部屋がある二階でのみ英語ってルールにしたのね」
「でもさ、電話とか掛かってきてさ英語で応対とか無理じゃんか、だから電話の時は禁止だよね?」
「どんどん制限が」
「結果15分ぐらいだったよね、英語だけで頑張ってた時間」
「あちゃー、まぁそんな気はしてたけど」
「ただね、思ったのがさ」
「案外、この15分を毎日続けることが英語話せる道なんじゃないか、と思ったよ」
「毎日が大事ですよね、まぁ30分くらいはやってほしいですけど」
「無茶言うなぁ……」
「結構妥協案でしょ」
「あんた最初一日英語しか使わないって言ってたんだよ」
「そんなに足を揚げられたらコッチ喋れないですよ怖くて」
「『揚げ足を取る』ね、なんだ足を揚げるってお前はイカか」
「別に揚げ足取ってないし」
「僕イカじゃないです」
「今日美容院行きまして」
「あ、そうなの美容院行ったの」
「シャンプーよし、マッサージよし、カットよしなんですけど……」
「おう、いいじゃん理想の美容院じゃん」
「最後のセットが絶望的に俺のセンスと違うんですよ」
「あぁ最後美容師さんがやってくれる髪のセットね」
「はい」
「あの『俺たち素人には絶対にまねできないから参考にしたくてもできない』で有名な」
「有名ですか?まぁいいや」
「最後の最後のセットでおっ立ててくるんですよ髪をグワァって」
「いや俺そういうイケイケと違うから……」
「普通に飽きちゃうのかもね」
「困るのよ」
「その髪型がかっこいいとしても、どんな顔すればいいかできないよ俺、自信ないその髪型の顔」
「髪型の顔?」
「なんとなくあんじゃん、この髪型にはこの顔だなみたいな」
「いやそんな……土台顔ってそんな変えられないでしょ」
「イメージですイメージ」
「いやいいよそんな、イメージとかかっこつけやがって」
「お前はその湿気た顔で進めよ」
「湿気てないもん!」
「お肌かさかさだもん!」
「いや……じゃあ良かったねとはならないですけどね」